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受験のための文学史~中世~

中世文学は、およそ鎌倉幕府のはじまり(1185年)から室町幕府の終わり(1573年)までの約四百年に書かれた文学とする。中世を前期・後期にわけると、

①中世前期:鎌倉幕府時代
②中世後期:室町幕府時代


となりますので、それぞれ説明していきます。

前ページ:古代文学史



①中世前期

古代の時代は、藤原貴族が隆盛して、京の宮中内が書かれた物語や日記が主流でした。しかし、その藤原貴族はやがて勢力を落としていき、代わりに地方の豪族が力をつけ始める。さらに平家と源氏の争いで源氏が勝利し、源頼朝により鎌倉幕府が成立するに至って、武士が勢力を握り、これまで公家中心であった文化から武家中心の文化へと移ります。

ただし、公家が衰退していくとはいえ、古代に一定の潮流を担った公家貴族の文学は残っています。和歌を見れば、『古今和歌集』から続く「八代集」の最後である、『新古今和歌集』が、1205年に藤原定家らによって編まれる。『万葉集』、『古今和歌集』と並ぶ、ひとつの歌風を形成しました。

心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)たつ沢の秋の夕暮れ(西行)

この歌の作者の西行は、鳥羽院のもと出仕していたが、若いころに出家をして仏道に入っている。「心なき身」は、出家して感情を薄くした自身のことを言っており、それでも秋の夕暮れの情景に「あはれ」を感じているということ。のち全国を旅し、その際の歌は、西行の個人歌集である『山家集』(さんかしゅう)に収められています。

思ひ出づる折りたく柴の夕煙むせぶもうれし忘れがたみに(後鳥羽院)

「折りたく柴」は折って焚いた柴のことで、火葬の煙と結びつき、亡くなった女性を偲んでいる。「むせぶ」は「煙にむせぶ」、「涙にむせぶ」と掛詞になっており、「忘れがたみ」は「忘れ形見」、「忘れ難み」に掛かっています。この歌の作者は後鳥羽院で、『新古今和歌集』の編集を命令した本人ですが、自らも歌を多く読んでいる。日本史を勉強していればわかりますが、1221年に承久の乱で討幕を目論見、失敗して隠岐に流されています。隠岐に流された後も、『新古今和歌集』をさらに精選するという徹底ぶりでした。

さて、和歌以外では、公家による物語も多く書かれてはいるが、「擬古物語」という古代の物語をまねした物語が中心になります。これは、都が衰退する中で、もう新しいものを生み出すエネルギーが公家になかったことを端的に示している。

公家による日記では、『建礼門院右京大夫集』(鎌倉初期成立)という、平家一族である平徳子(高倉天皇の中宮。のち建礼門院)に仕えた、建礼門院右京大夫の日記がある。平家が壇ノ浦で滅亡し、建礼門院は京都・大原に隠居します。その栄枯盛衰を見てきた女官が、平資盛との恋愛を中心に、歌集日記として綴っている。

他に公家の日記としては、後深草院二条という女房の『とはずがたり』(1310年頃成立)というどろどろしたものもあります。ちなみに、「とはずがたり」とは、「問はず語り」と書き、「人が聞いてこないのに自分から語り出すこと」という意味。日記というものの性質がよく出ているタイトルだと思います。

公家から武家に文化の中心が移る。和歌においては、鎌倉幕府の三代目将軍・源実朝の家集『金槐和歌集』が編まれる。『金槐和歌集』が重要なのは、後年に賀茂真淵、正岡子規などに改めて評価された、その万葉調の歌の調べにあります。

・時により過ぐれば民のなげきなり八代竜王雨やめたまへ
・大海の磯もとどろに寄する波われてくだけてさけて散るかも

このような、『古今集』以来の貴族的な美意識、ものの見方ではなく、『万葉集』に近いありのままの自然の見方をした歌が非常に評価されています。

しかし中世前期の武家文化の真骨頂は、「軍記物語」にあります。軍記物語には、保元の乱を題材にとった『保元物語』、平治の乱に題材をとった『平治物語』、源平争乱に題材をとった『平家物語』があります。

『平家物語』
【ポイント】
・平氏隆盛から滅亡までを描く諸行無常の文学。
・琵琶法師による語り。


『平家物語』の特徴としてはその複雑な成立過程があります。もともとは、琵琶法師という琵琶を弾きながら聴衆に語る台本でした。その口語りが全国に広まり、その過程で増補、修正を加えながら、様々な形態の本が残っています。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる者久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

有名な冒頭文ですが、こうした心地よいリズム感は口語りで生まれたものです。平家の全盛から衰退までを、「諸行無常」の論理のもとに、様々な人物の群像劇を描いている。平家の盛衰を描くことによって、平家の鎮魂という意味合いが込められています。

こうした古代までに見られなかった、諸行無常といった仏教的な思想は中世文学において一つの大きな特徴です。

それは説話物語によくあらわれていて、古代には『日本霊異記』という説話集がありましたが、鎌倉時代の少し前には『今昔物語集』が書かれている。仏教的な思想が多く反映した説話集で、近代において芥川龍之介が『羅生門』や『鼻』、『芋粥』、『藪の中』など、短編の素材として『今昔物語集』からとっており、評価が高まったものです。

他の説話物語には、『宇治拾遺物語』や『古今著聞集』(こきんちょもんじょ)、儒教的な『十訓抄』(じっくんしょう)、僧・無住の書いた『沙石集』(しゃせきしゅう)などがあります。

仏教の思想が広まった当時には、西行のように出家し、中央政権から隠居する人間も多くいた。そうした隠居した人物が、世の中を様々な視点で観察し、優れた随筆を残しています。

『方丈記』
【ポイント】
・鴨長明の作
・1212年成立


行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。

冒頭から「無常」の精神を説き、火事、地震、飢饉などの災厄を無情の眼をもって冷徹に描いている。「方丈」とは「一丈四方」の広さという意味で、鴨長明の住んでいた庵が、おおよそ一辺三メートルくらいの小さな広さであったということ。

『徒然草』
【ポイント】
・兼好(吉田兼好)の作。
・1330年頃成立


つれづれなるままに、日暮らし硯に向かひて、心にうつりゆく由(よし)なしごとを、そこはかとなく書き付くれば、あやしうこそもの狂ほしけれ。

冒頭文にある通り、「つれづれ」(手持無沙汰)を慰めるために書いた随筆で、序段から243段まであり、『方丈記』に比べると大分ボリュームがあります。無常観をもとに、様々な話題にぽんぽん移りながら、ものの見方について示唆を与えてくれる。『枕草子』、『方丈記』とあわせて、「日本三大随筆」と称されます。

さて、京都を中心とした古代から、鎌倉に幕府を広かれた中世において、その間を移動することが必要となってくる。移動は旅行の発展にもなり、先に説明した通り、西行の『山家集』などにも紀行的一面が見られます。

本格的な「紀行文」としては、阿仏尼の『十六夜日記』があります。1283年頃成立したもので、子供のために所有地の相続をめぐり、鎌倉へ幕府に訴えをするため旅をする。その際の旅日記が『十六夜日記』の内容になります。

②中世後期

中世後期は室町幕府が開かれて以降(1338年)です。日本史上では、南北朝時代といわれる、1336年から1392年までの、天皇が南北に並立するというごたごたがありました。

そうした南北朝の騒乱は文学に多く影響を残している。「軍記物語」としては『太平記』が、「歴史物語」としては『大鏡』から始まる「四鏡」の最後である『増鏡』が、南北朝時代に材をとって描かれる。

とはいえ、中世後期は南北朝の混乱とそれにあわせて下剋上の世の中になり、戦国時代に入る。貴族文化は退廃し、代わりに庶民の中から様々な文化が発展してくることになる。

観阿弥・世阿弥が大成させた「能」があり、世阿弥の演劇論『風姿花伝』が芸術論として優れている。また、歌を詠みあう「連歌」(れんが)というジャンルが確立し、『菟玖波集』や『新撰菟玖波集』といった連歌集も編まれる。

しかし、この中世後期は意義ある時代ではあるが、こと作品重視の受験文学史に限ると、日本文化史では出題されるものの、文学史ではたいして取り上げられないので、これくらいにしておきます。続く江戸時代の近世文学では、この時期の庶民文化がさらに発展していきます。

次ページ:近世文学史

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